小アルカナ解釈~序文~

世の中のあらゆる事象を占うにあたって、タロットの大アルカナ22枚だけでは、どうにも物足りないものです。78枚のカードをフルに使って、より具体的で霊性に満ちた啓示を受け取る、プロフェッショナルの占術を獲得するためには、小アルカナカード1枚1枚を的確に解釈し使いこなす必要があります。

もちろん大アルカナだけを使うタロット占いでも、大いなる導きを得ることは可能です。大アルカナに込められた叡智は深遠であるがゆえ、そこから学び取る哲学や知恵も、時代を超えてどこまでも人間が果てしなく追究していくべき要素に満ちているからです。

小アルカナは大アルカナに比べ、より具体的に私たちの人生の一場面に焦点を当てる要素が盛り込まれています。これから述べていく小アルカナについての解釈は、すべてライダー版タロットカードを基準にしています。パメラ・コールマン・スミスの適度に単純化された絵柄は、すでにタロットカードのワールドスタンダードの地位を確立しており、あらゆるタロットカードが、ライダー版の図柄を基準に製作されています。古くからあるマルセイユ版などの、ヌーメラルカードがすべてスートの数だけで表現されているセットは、おそらくタロットカードが主にゲームカードとして使われていた時代のものであり、占いの道具としてのタロットカードは、ライダー版を基礎とすべきであろう、と考えます。

ちなみにタロットカードの歴史を探る研究や、さまざまな解釈の流儀の多様性については、それはそれで「あるもの」として、ここでは多くを語りません。ここで私が語るのは、実際に占いのプロフェッショナルとして、タロットを自在に使いこなすための道筋です。構造的な解釈と言ってもいいかもしれません。東洋の陰陽五行が、この世界のあらゆる事象を木火土金水になぞらえることができるように、タロットの小アルカナもまた、西洋の概念である火地風水をスートが象徴することで、世界のあらゆる事象と結びついて私たちに広大な世界と、未知なる知恵を授けてくれるのです。「ひとつは全体であり、全体はひとつを欠いては成り立たない」、小アルカナは全体構造を理解することが必要不可欠なのです。構成されている全体の体系と構造を、理解することで、自由自在に占うことができます。そう、すべての要素をテーブルに置いて、自信に満ちた魔術師のように。