審判/THE JADGMENT

judgment

「審判」のカードに描かれている光景は、キリスト教の「最後の審判」とされています。タロットカードの絵柄は、キリスト教圏の文化をベースに制作されていますので、これは断定して良いでしょう。「最後の審判」は、美術芸術の世界でも人気の高いテーマです。かつて多くの画家が「最後の審判」を描いてきました。システィーナ礼拝堂のミケランジェロの壁画や、ルーベンスの作品は最も有名です。「最後の審判」というのは、キリスト教の教義で「世界の終末」にキリストが再臨し、死者は墓からよみがえり、生者も含めすべての人々が「神の裁き」にかけられ、天国と地獄にふりわけられるというものです。

その時、天使はラッパを吹き鳴らすことになっています。「審判」のカードでは、空に大きな天使がいてラッパを吹いています。この天使は大天使ガブリエルであるとされています。下の方では墓からよみがえった死者達が神を称え祈るようなポーズをしています。男性女性子供の3人が手前に描かれているのは、すべての人がみな等しく裁きを受けることを強調するためでしょうか。ミケランジェロやルーベンスなどの巨匠の絵画作品では、壮大なスケールのスペクタクルな光景が展開しているものですが、タロットカードの場合は、だいぶ簡略化された絵柄になっています。




さて、「審判」すなわち「裁きの日」、キリストは再臨し死者は蘇る、ということから、「審判」のカードは「復活」という意味を付されていることが一般的です。別れた恋人ともう一度やり直したい、別れてしまったけどもう一度会いたい、という世の中の恋愛ニーズに対して、この「復活」を意味する「審判」のカードは、当たりクジのごとく嬉しいカードのようです。しかしカードの意味を安直に「復活」とだけとらえてしまうと、その先には幸せな展開だけが待っているかのような錯覚に陥ることでしょう。「復活」を望んでいるあまり、カードの意味を自分の望み通りに妄信してしまう傾向は、危険です。冷静に客観的にカードを読み解くべきでしょう。

「復活」とは、死んでいたかのように沈黙の中にあった物事が、今再び息を吹き返し、取り上げられ、明るみに出されることです。「審判」「裁き」は、そのうえで事象の真実を見据え、善悪の決着をつけることに他なりません。それも、自分自身が決着をつけるのではなく、この場合は「神の裁き」ですから、自分を超越した存在から突きつけられる「結果」となります。

つまり、テーマにしていた事柄について再び何かが起きたり、接点を持つ事になる可能性が高いけれども、そのことに何らかのジャッジメントが否応無しに下るわけで、その結果が「天国」なのか「地獄」なのかは、自分ではコントロールできません。フタをあけてみないとわからない、ということであります。ちょっとドキドキするカードなわけです。

例えば「天国」編なら、別れた人と連絡がとれて誤解も解けて前のように付き合うことになった、というハッピーな結果。「地獄」編なら、ずっと途絶えていた連絡があったものの、結果的にはののしり合い物別れに終わった、という悲惨な結果もありということです。未来を示す位置に「審判」のカードが出たなら、その結果が天国と地獄のどちらになるかは「超越的な力」にゆだねるしかありません。この感覚は、どうなるかわからない「運命の輪」と似ています。的確な予想は難しいでしょう。結果がどう転ぶか知りたい場合は、カードのスプレッド全体から解釈して傾向をみることになります。




とはいえ「審判」のカードが出た場合、その後の結果がどうあれ、相談者に良い影響を与えてくれると考えるのが適当でしょう。悩ましい問題に悶々としている中、高らかにラッパが鳴り「こういうことですよ!」と審判が下ることで、その時はちょっとビックリしたとしても、結果的に気持ちがスッキリすることになるだろうと予想されるからです。

それまで気がつかなかったことに「気づき」が与えられ、目からウロコが落ちたり、新しい世界観を獲得したり、いずれにしても新たなる出発を約束してくれる天使のラッパを聴くことになるわけです。天使が耳障りなイヤな音を出すわけがありません。ですので「審判」のカードが出ましたら「時を待てば良い」のです。いずれ近いうちに「結果が出る」ということです。解決するのかどうかわからない長期的な問題を抱えている人にとっては、もうじき結果が出るということですから、ラッキーカードです。あまり頑張ってなかった人にとっては、そろそろ成績表出しますよ、という啓示になりますので、ちょっと焦りを覚えるカードになるでしょう。

良きにつけ悪しきにつけ「明るみにでる」「決着がつく」「結果がでる」「真実を知ることになる」という意味の方が「復活」という単純な解釈よりも比重が高いように思います。ネガティブな解釈では「ウソがバレる」「決定的な決断がくだる」など。組織での命令や辞令が下るなども含まれそうです。

「審判」のカードがもたらすのは、小説で言うなら、伏線と結果が結びつくような現象。サスペンスドラマの犯人の告白タイムのような…(笑)。小説でもドラマでも、始めの方で犯人がわかってしまう推理力や直感力の鋭い人がいますが、「審判」のカードは、占う人の霊感や直感レベルによって、読み方の深度がだいぶ違ってくることになることでしょう。