タロットカードの歴史と現在

●タロット起源はいまだに謎
タロットカードの起源を明瞭に示す資料は存在していません。 起源については、エジプト説、アラビア説、ペルシア説、インド説、中国説、 その他諸説あるようです。いずれにしても「〜説」という域を出るものではなく、 多くの人々が研究を重ねていますが、今なおタロットの起源は謎につつまれたままです。 しかし、謎に包まれていることが、むしろタロットカードの世界を無限に拡げてくれているようにも思われます。それぞれの「〜説」から派生して様々なタロットのイメージが創造され、おかげで私達は今日、神秘的でバラエティ豊かなカードを手にすることができる喜びを享受しているわけですから。

●タロットの研究は進む
日本に初めてタロットカードが紹介されたのは1930年頃、人々に知られるようになったのは、1960年代後半からと言われています。西洋のオカルティックな絵柄は多くの人々を魅了し、「占いブーム」も起こりました。当然すでに西洋にはタロット研究の書籍も存在していましたので、日本のタロット愛好家達は、それらの資料をもとに、タロットについての知識を深めていきました。 参考までに、現在タロットの歴史をたどるための、主な資料として、以下をあげておきます。これらの資料をもとに多くのタロット研究がなされました。

1781「原初世界」
◆クール・ド・ジュブラン
フリーメーソン会員で学者

1784 「エッティラ版タロットカード」制作
◆エッティラ カバラ占星術師

1855「高等魔術の教理と祭儀」
◆エリファス・レヴィ
神秘思想家で錬金術師

1888結成 秘密結社ゴールデンドーン
メンバーその1
◆メイザース 
1887「タロット」タロット解釈本
メンバーその2
◆アーサー・ウエィト 
1911「Pictorial Key to the Tarot」タロット解釈本
メンバーその3
◆アレイスター・クロウリ−
1947「トートの書(The Book of Thoth)」タロット解釈本


これらの資料もまた、タロットを研究した成果をまとめたもので、タロット自体は、そうした研究書が出版されるずっと以前から存在していました。現在私達が知る限りでは、1392年のタロットカード(画家ジャックナン・グランゴナ−による)がパリの図書館に所蔵されています。愛好家に人気のあるヴィスコンテイ・タロットカードも1440年頃の制作で、原版は大変古いものです。

●もともとタロットは遊びの道具
ジュブラン説では、タロットはエジプトに起源があり、エジプトの神官達がその叡智を寓意画に託して伝えたものだとしています。この説は人々のロマンをかきたてるもので、大変もてはやされました。エジプト風の絵柄のタロットカードが多く存在しているのはそのためです。現在では、研究を深めた人々によってエジプト起源説は「間違い」であると言われていますが、だからといってエジプト風のカードを排斥する人はいないようです。むしろエジプト風のカードはひとつのジャンルとして確立されているかのようです。

現在のタロット研究は、学術的なスタンスを持ちつつあり、実際の「占い」の世界とは乖離してしまっているような印象を受けます。もともとタロットカードはトランプの原型であり、遊びの道具でした。小アルカナのスート(聖杯、剣、棒、金貨)は、現在のトランプのハート、スペード、クラブ、ダイヤの原型です。一般 によく知られているライダー版のタロットカードの小アルカナには、それぞれ寓意的な絵が描かれていますが、それ以前からあるカード、例えばマルセイユ版には、人物などの具象的な絵はなく、棒の7なら棒が7本、装飾的に描かれているだけのものでした。


1650年 ジャック・ヴィエヴィルのタロットカード(フランス)
小アルカナは各スートが装飾的に描かれていて、人物などは登場しない。

 

日本に紹介された時、タロットカードはすでに「占いの道具」でしたが、社会的には「占い」自体がいわゆる「子供の遊び」として認識されており、本格的なタロット研究の書籍などはありませんでした。現在では、ハードカバーの分厚い研究本が何冊も出版されていまが、これはおそらく、当時タロット占いに心をときめかせていた世代が、大人になった今だからこそ、そのような現象が起きてきているのだと思われます。

●タロット・イマジネーション
好きなことを研究するのは、楽しいことでもあります。タロットは、謎に満ちている格好の研究材料です。決定的な根拠がないだけに、自由にイマジネーションを膨らませることができます。

様々な研究や説の中でも、体系的に確立されたものには「タロット・カバラ説」があります。「生命の木」と呼ばれる曼陀羅のような図の中に「小径」と呼ばれる経路があり、それぞれの「小径」と大アルカナが対応しているとする説です。瞑想を行い、タロットのイメージと自身をシンクロさせようとする密教的な世界でもあり、単なる占いの域を超えた世界観を呈しているものです。 その他にも、錬金術とタロットを結び付けたり、数秘術とタロットを照合させたり、魔術とタロットを組合わせてみたり、確固たる世界観を確立した諸説があります。それらはウエィトとクローリーを含むゴールデンドーンのメンバーが仕掛けたタロット観であり、まさに超絶ともいえるクリエイテヴィティが感じられます。大切なのはイマジネーションです。私達は、タロットという秘儀の道具に、様々なロマンを感じ、占いという神秘に心を捕らえられます。そこにタロットというの存在の凄さがあるのだと思います。

2004/11/23 紫望イレーヌ

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