法王/THE HIEROPHANT

hierophant

「法王」という名で私達に馴染み深いのは、ヴァチカンの「ローマ法王」でしょうか。カードの人物もキリスト教会の「法王」のようです。右手はキリスト教のお約束、祈りのための二本の指を立てており、左手には<神と精神と肉体>を貫く力を象徴する三重十字架の柄を持っています。手前には、信者とおぼしき剃髪の後ろ姿のふたりの人物がいます。

「法王」は「法」の「王」と書きます。法律や規則、規律、戒律、といった、いわゆる「ルール」を象徴しています。そうした「ルール」が守られている世界は「調和」していて「平和」です。その昔「法」とは「神」そのものでもありました。ここが現代の「法律」と若干ニュアンスが違っている点でありましょう。

さて、AさんとBさんが仲良くやっていくためには、第三の存在「C」が必要です。AさんとBさんがお互いに同じ趣味を持っていたら、すぐに仲良くなれます。この時の趣味が「C」です。また、AさんとBさんが同じ会社にいて同じ上司を持っていたとしたら、この上司が「C」になります。上司に対してふたりが悪感情を持っていたとしても、A「あの上司なんとかしてほしいよなぁ」B「まったくだよ!」という具合に、ふたりの結びつきは強くなります。また、初対面であっても、Aさんが好きな野球チームをBさんも好きだということが判明したとたん、意気投合したりします。




「法王」のカードは、「共同生活」「集団」「仲間」「ファミリー」「サークル」「会社」などの、人が集合して社会生活を行う「場」というものも象徴しています。「法王」はそこに集う人々を「まとめる力」なのです。少々お仕着せであっても、同じ服装や髪型をさせてしまう「規則のパワー」です。

ところで、人と人がおつきあいをしていく際に大切なものは、法律などのルールだけではありません。根底には「良き心」であることが求められます。相手に対する「誠実さ」、従う「素直さ」、そういった神様ご推薦の心の有り様の大切さも、「法王」のカードは象徴しているようです。

「約束」や「契約」を交わした場合、決めた事を守るということがルールになりますが、約束を履行するためには「きちんとやろう」という「心構え」が、まず大切ということなのです。そういう点で「結婚」「婚姻」も「法王」のカードに象徴されます。どちらかというと「結婚式」とか「婚姻届」とか形式的な部分にスポットが当たる感じです。

約束を破ってルール違反を行ったものには「罰」が下されます。「規則のパワー」のコワさです。




違反者は、まず、集団生活からはじき出されることになります。「異端者」とされてしまいます。「異端者」は共通項目「C」として機能して、集団の結束をますます強めるため、集団は過剰に反応して、集団ヒステリーの様相を持つことになりかねません。「異端者」の受ける「罰」は苛酷なものになるかもしれない危険があります、歴史上の宗教裁判や魔女裁判、その拷問や刑罰の残酷さがそのコワさを物語っています。「法王」のカードのネガティブな一面といえましょう。

とはいえ規則に100%従うような生き方には、個性とか創造性は見出しにくいのもまた事実です。つまり全体としては調和していて美しいけれど、個々の人間としては特徴のない、つまり「魅力的」とはいえない在り方になってしまうのです。「法王」の前にひざまづいている人々はまた、革命的な人物を嫌う「保守的な集団」とも言えますが、「法のパワー」を発揮している中心人物、つまり彼等の神が、この世の正しきものなのか、悪しき邪教の祖なるものなのかは、よくよく見極めが必要となるところであるというのは、現代社会にあってこその注意点なのかもしれません。「法王」のカードが示された時には、それがどのような「ソサエティ」を示しているのかをよくよく推測する必要がありそうです。




投稿者:

イレーヌ・パープル

タロット・占星術研究&実占家