死/THE DEATH


タロットコラム
「死」のカードには、白い馬にまたがった黒い甲冑の骸骨が描かれています。骸骨は人間の「死」を象徴しており、骸骨の乗った馬の足元には、すでに倒れている王と子供、処女、そして手をあわせて祈っている聖職者が描かれています。骸骨男は「死神」なのでしょうか。「死神」といえば、カマを持っているものですが、ここに描かれている骸骨が手にしているのは、バラの花を描いたフラッグです。バラは、ミスティック・ローズ、神秘の薔薇、「生命」の象徴です。

タロットカードの「死」は、聖書の黙示録の情景を発想のベースにして描いたものであろうといわれています。黙示録の中に“「死」が青白い馬に乗ってあらわれる”という記述があるからです。

「死」のカードが出ると、多くの人は、一瞬、まるで脅迫されたかのような不安気な表情になります。やはり絵柄からネガティブなのイメージを受けがちのようで、私はいつも「そんなに怖いカードではないですよ、このカードが出たからって死ぬわけでありませんから」と説明したりしています。「死」を単純に「不吉」なものと決めつける前に、「死」とは何か、について考えてみることが大切ではないでしょうか。

始まりがあって、終わりがある。「死」とは、ひとつのものごとの「終り」を象徴しています。「肉体の死」であるならば、それは、私達が常に怖れている、いわゆる「あの世行き」の「死」です。「死」は存在します。が、誰も「死」を「体験」することはできません。「死」は生きている私達にとっては、想像することしかできない「イメージ」だけの概念として存在しています。臨死体験というものがありますが、あれだって本当に死んだわけではありません。この世で私たちが体験できるのは、他人の「死」だけです。自分自身の「死」を体験する時には、すでにこの世とは違う世界に旅立っているのですから、「死ってこういうものだよ」と伝える手段もないのです。例え霊界から、なんらかのカタチで伝わってきたとしても、それすら生きている私達の受け止め方でいかようにもなり得るわけで、「死」について「これが正しい」という基準は存在しません。「死」についての、あらゆる文献、哲学、考え方、儀式、悲哀、それらは、すべて生きている私達のために存在しているのだと、考えるべきでしょう。そしてタロットカードが謎につつまれているように、現実の「死」もまた謎につつまれているのです。

←戻る 続きを読む→
死
ライダー版「死」



愚者 魔術師 女教皇 女帝 皇帝 法王 恋人  戦車 裁判の女神 隠者

運命の輪  吊られた男  節制 悪魔    太陽 審判 世界 


タロットショップ  HOMEに戻る