隠者/THE HERMIT


タロットコラム
ライダー版のタロットカードは、全体に色使いが鮮やかなだけに、「隠者」のような地味な色使いのカードは、「陰気」な印象を強く訴えかけてきます。カードには、グレーの衣装を着た老人が描かれ、片手にランプを持ち、大地を照らしています。老人は光の先に何かを見ようとしているようでありながら、その目は閉じられています。一方の手には長い杖を持っていて、この杖もまた、身を支えるためというよりは、何かを探るための持ち物のような印象を受けます。

このカードのキーワードは「孤独」です。たった独りの作業を意味しています。老人が象徴するものは「過去」であり「蓄積」であり「知識」と「経験」です。それらを象徴する老人が、過去を振り返ってあらためて追求しようとしているものは何なのでしょう?人々が未だ発見できていない「未知の叡智」を求めているのでしょうか?それは「神秘」という類いのものなのかもしれません。神秘とは「神の秘められた智恵」ですから、公に流布するものではありませんし、人々が未だ知り得ぬということは、誰とも共感することがない、ということでもあります。その「何か」は、他者との共通言語とは成り得ないし、老人自身もまだ「知り得ないもの」である以上、それを求める者は、たった独りで孤独に探すしかないのです。

シンボリズム的な解釈では、右は未来を、左は過去を表します。老人は左を向いているので、過去を検証している姿であると一般的には解釈されているようです。また、この老人は修道士である、という解釈もあります。グレーの頭巾付の衣装が、ヨーロッパの修道士を思わせますし、実際、タロットカードの絵には、修道士の姿で描かれたものが多数あるようです。

さて、目を閉じているのにランプを掲げているという、ちょっと矛盾した絵から読み取れるのは、何かとても含みのあるメッセージのようです。老人は、今までずっと探していたものをやっと見つけた瞬間のようでもありますし、ずっとこうしていたようでもあるし、これからもこうしているかもしれないようでもあります。このカードの絵が、どのように受け止められるかは、人によって様々だと思います。つまり相談者の状況によって、その受け止められ方も微妙に変わってくるということです。しかし、ここでは、占う側として、カードのメッセージを代弁する立場として「隠者」のカードについて述べたいと思います。

←戻る 続きを読む→
隠者
ライダー版「隠者」



愚者 魔術師 女教皇 女帝 皇帝 法王 恋人  戦車 裁判の女神 隠者

運命の輪  吊られた男  節制 悪魔    太陽 審判 世界 


タロットショップ  HOMEに戻る