「力」のカードは別名で「力士」とか「剛毅」とも呼ばれます。ここでは「力」という名称を採用したいと思います。英語のタイトルである「STRENGTH」というのは、人間の肉体的、精神的な力、あるいは物の中にある耐久力を示すのに使われる単語で、あえて「POWER」や「ENERGY」ではない、という点を念頭に置きながら、「力」のカードについての理解を深めていきたいと思います。
カードには、ライオンと女性が描かれています。女性は落着いていて優美な印象、白いドレスに花を編んだものを腰に巻いています。花の冠をかぶり、頭上には「魔術師」と同じ無限をあらわすレミニスカートが描かれています。ライオンは女性になついているように描かれています。尻尾は身体の内側に巻き込まれていて、表情などは、なんだか女性にデレデレしているオジサンのようです。だらしない口の開き方、しかも舌が出ています。まるで可愛いペットのワンちゃんのように描かれているライオンですが、ライオンに違いはありません。野獣です。どう猛です。
カードの絵が語りかけてくるのは、単純な「力」の存在というよりは、非常に微妙なバランスのもとに成り立つ「力」の「あり様」のように思われます。女性とライオンの、いわば拮抗したバランスの状態こそが「力」の姿なのだと。女性は優美に見えますが、カードの絵全体には、独特のそこはかとない緊迫感がただよっています。今は女性がすっかりライオンを手なづけているようだけれど、いつライオンが豹変して牙を剥くかわかりません。その可能性が全くないとはいいきれないのです。見る側である私達に想像力がある限り。 女性は肉体的には弱い存在ですが、その柔らかな魅力でライオンを征服することが出来ているようです。しかし、ライオンを制しておくためには、ずっとこの状態を維持し続けなければならないとしたら…。それは「忍耐」となることでしょう。ウェイトの著書には「Strenth or Fortitude」とあります。「Fortitude」には忍耐という意味があります。 ネコを撫でていると、撫でるのをやめた時に、ネコが「やめるなよぉ」と主張してきて、かなり長い時間、撫で続けさせられてしまう。そんな経験をお持ちのネコ好きの方は多いと思います。卑近な例ではありますが、ライオンもネコ科の動物ですので、おとなしくさせておくには、この女性もずっとこうしてなくてはならないのかもしれない…なんて考えてしまいます。ライオンを魅了し続けることが必要なのです。 そもそも「力」とは何でしょう?
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ライダー版「力」
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