愚者/THE FOOL
タロットコラム
"FOOL"は、昔の宮廷に出入りする道化師のことでもあります。「愚者」の衣装のピラピラしたデザインと色合いは、道化師をイメージさせます。宮廷の道化師というのは、城の外でも中でも自由に行き来することが許されており、規則に縛られることなく、好きなことをして暮らし、普通なら謁見を申込まなければ話も出来ない王侯に対して、自由に話しかけることも許されていたようです。もちろんその王侯に仕える立場ではあったようですが、他の人が言いにくいことも平気で言ったりしていたようです。周りの人々は、うっとおしいと思いながらも「あいつはバカだから放っておけ」くらいの扱いだったんでしょう。

しかし実際のところ、自由に動き回れる道化達は、城の内外のあらゆる事情に通じていて、なにかと王様に報告や助言をしていたようです。その重宝さゆえに存在を認められていたのかもしれません。道化師の助言は王様にとって、かなり重要なものであったのだと思われます。基本的にアホっぽい格好をして人を笑わせるのが道化師のスタイルですから、あまり嫌われるということもない。今でいう「お笑い芸人」的存在。しかし、この道化が意志や目的を持ちだすと道化が道化でなくなります。その時点で「愚者」ではなくなるのです。何か画策をはじめた道化は、たいがい王様の怒りを買ってあっさり切り殺されたりします。役割は重要でも、個人として全く尊重されない存在でもあるのが、道化師の切ないところでありましょう。

よく占い師をこの「愚者」に例えることがあります。占い師は「社会性のある個人」を「自由な道化師」に演出することで、自由に助言を与える謎めいた存在を成り立たせます。私に「イレーヌ」という名前があるのも、そのような演出が重要だからです。占いをするコツは、自分を無の状態にすること。頭をやわらかく。発想を自由に豊かに。「個人的な価値観」に拘泥すると占いは陳腐なものになってしまいがちです。

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