吊られた男/THE HANGED MAN
タロットコラム
男は、なぜ吊られているのでしょうか?このような目に合わされているからには、このような目に合っても仕方のない犯罪を冒したのでしょうか?一般的な解釈では、この男をキリストを売った裏切り者のユダだとしていますが、これは、もともとの手を後ろにまわしている姿が、財布や巾着を隠しているような姿に見えるため、タロットの歴史の中で徐々にそのように脚色されていった、とも言われています。ライダー版以外の古い図版には、金貨(?)の入った袋を持ったまま吊られていたり、男の衣服のポケットからバラバラと金貨が落ちていたりする姿が描かれているものがあります。男がユダなのかどうかはさておくとして「裏切者」という解釈は、ひとつ有りだと言えましょう。

吊られる存在として、もうひとつ「犠牲者」「生贄」という解釈があります。罪の代償として吊られているのではなく、儀式の生贄として吊られているわけです。

いずれにしても吊られている男は、外圧的な力によって吊られているわけで、彼を吊るした人間、あるいは社会が存在すると考えられます。どうにも身動きが出来ない苦境にあって、まず、男は考えます。「なぜ、こんな目にあってるのか」と。自分の「主観」から、「客観」に切り替わることでその答は得られます。つまり「逆さま」に世界を見ることで、「新たな視点」を獲得するのです。「自分から見た他人」というよりは「他人から見た自分」、「自分にとっての世界」というよりは「世界の中の自分の存在」というものに目を向けることになるわけです。そこで、究極の「理解」に至るのでしょう。その死を前にした極限状態の男の「至高のヒラメキ」の姿が、カードには描かれているのです。

このような「究極の理解」の獲得という奥義が、「吊られた男」のカードにはこめられているようです。男は吊られた状態で、このまま死んでゆくでしょう。そのような状況にあって何を思いつくのか…。ここで思い出すのが、「3」と「4」と「12」の数字です。それぞれ「知性・理解」「慈悲・恩寵」「宇宙の秩序・完全周期」です。

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吊られた男
ライダー版「吊られた男」



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