月/THE MOON
タロットコラム
ヨーロッパでは13世紀頃から「人間狼」という表現があるそうです。魔的な存在ではありますが、その実態は、共同体の平和を乱す犯罪を行った者が、家族とも一切の関係を絶たれた上で追放され、森に放浪し「人間狼」となった。彼らは「社会のはみだし者」「社会秩序のなかで正当な地位を得られない者」です。たいがいは厳しい冬の森で死んだと考えられていますが、生き延びた人々が「人間狼」として魔的な存在になったようです。

「月」のカードにおける狼の存在は、上記のような、狼にまつわる伝説や歴史を内包していると考えても良いかもしれません。「月」のカードの「不安感」には、「悪い噂」「誹謗中傷」など、個人の社会生活を脅かす要素が盛り込まれています。

真ん中にうねる細い一本道は、この社会からの「追放」を象徴しているのでしょう。道はザリガニから伸びています。ザリガニ=かに座、の構図から解釈すれば、かに座の象徴する「家族」「庇護」「仲間」といった枠組みからの「離脱」「追放」を暗示していると考えられます。つまり「差別」や「仲間はずれ」「いじめ」などが具体的な意味として浮かび上がってきます。

左右にそびえる二つの塔は、いうなれば「冥界の門」。ここを越えたら、この世とあの世のように世界が180度変わってしまう。道はその先までも続いているのだけれど、越えてはいけない「境界線」を象徴していると考えられます。

最後に「アルテミスの横顔」ですが、見るからに「お悩み中」という印象です。「月」そのものは「人間の心の有り様」を表現しているのでしょう。満ち欠けをくりかえし、常に形を変化させる月は、「人の心の変化」に例えられる事も多く、特に占星術では同一視されています。

「月」は、人間関係に深く根ざしたカードです。このカードが出たならば、そこには深く悩ましい問題が存在します。それは「周囲と個人」の問題であり、「社会的な立場」を脅かされるような要素を含んでいるかもしれません。あやうい状況であると判断できます。

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月
ライダー版「月」



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